年収・手取りの話

年収、年商、所得の違いとは?個人事業とサラリーマンの事例で税理士が解説

2022年2月16日

この記事では、似ているが実は意味が違う間違いやすい『年収』『年商』『所得』について、言葉の意味からそれぞれの違いについて税理士が解説しています。

ざいり
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税理士のざいりです。
本業では、税理士として個人事業主の開業や融資のお手伝いをさせていただいています。お客様からよく受ける相談をまとめましたので、ぜひご参考にどうぞ!

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  • 言葉の使い分けをしたい方(一目置かれます)
  • 年収いくら?と聞かれて答えられない方
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相談にきた<br>会社員
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会社員

友人との会話で「年収」「年商」は何が違うかか話題になりました。年収と年商って同じ意味じゃないのかな?

ざいり
ざいり

その他にも「所得」があって、全部似た言葉だから気にせず使っている人は多いよね。実際はそれぞれの意味がまったく違うんだ。

相談にきた<br>会社員
相談にきた
会社員

同じ意味だと思っていました。くわしく教えてください。お願いします!!

収入を表す言葉として「年収」「年商」「所得」があります。

「外資系企業〇〇で働くサラリーマンは年収1000万円!」

「〇〇の副業で年商1000万円を達成!」

テレビやインターネット、本などでよく見聞きしますよね。実はそれぞれ意味がまったく違うってこと、知っていますか?

これらの似た言葉を混同させたサギのような宣伝文句も多く出回っています。言葉の違いを知っているだけで、それら詐欺まがいの勧誘に引っかからないための予防になります。

そこで、みなさんが数字の見出しに誤解が起きないように、今回の記事では「年収」と「年商」「所得」の違いと注意点について税理士が解説します。

ぜひ参考にしてくださいね。

年収とは?

年収とは、個人が1年間で得られた収入合計のことをいいます。

サラリーマンやOLのように会社員として給与を受け取っている方は、毎月の給与とボーナスの1年間の合計額が年収になります。
年末調整で会社からもらう源泉徴収票の「支払金額」が年収金額になります。

なお、給与の額とは、健康保険や雇用保険等の社会保険料や所得税・住民税等の税金が引かれる前の給与の金額です。「給与額面」などと呼ばれます。

ちなみに、毎月の給与額のことを「月収」、給与額面から社会保険や税金が引かれた後の金額を「手取り金額」と言われたりします。

給与額面

健康保険や雇用保険等の社会保険料や所得税・住民税等の税金が引かれる前の金額

 

手取り金額

給与額面から社会保険や税金が引かれた後の金額

一方、個人事業主は売上金額から経費を差し引いた金額が年収になります。
1年間の事業利益が、年収金額になります。

年収とは?

個人が1年間で得られた収入合計のこと。
会社員は給与の額面、個人事業主は1年間の事業利益をいいます。

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相談にきた<br>会社員
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会社員

年収は「1年間の収入合計」っていう意味なんですね。

年商とは?

年商とは、株式会社等の企業や個人事業主が1年間の事業活動で得られる売上高のことをいいます。

年商は、企業や個人事業主にかかわらず、ビジネスの規模を表す言葉です。
ちなみに月の売上を「月商」と呼びます。

例えば、年商1憶円は売上高が1億円なので、ビジネス規模が非常に大きい事業であることが分かります。一方、年商200万円では年間売上が200万円のため、小さいビジネス規模であることが分かります。

年収は「個人」の「年間収入」を表すのに対し、年商は「企業・個人」の「年間の売上、ビジネス規模」を表します。

年商とは?

株式会社等の企業や個人事業主が1年間の事業活動で得られる売上高のこと。
「企業・個人」の「年間の売上、ビジネス規模」を指す言葉です。

ざいり
ざいり

年商は「1年間の売上」のことをいうよ。売上だから給与収入のサラリーマンには無い考え方だよね。

所得とは?

所得とは、収入から必要経費を引いた残りの金額のことをいいます。
そのため、個人事業主の所得は、「売上(年商)から必要経費を引いた利益」の金額を指します。

相談にきた<br>会社員
相談にきた
会社員

あれ?年収と同じ意味ってことですか?

ざいり
ざいり

ほぼ同じだね。青色申告の場合は、青色申告特別控除をさらに差し引いた金額が所得になるよ。

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一方、サラリーマンの場合は、「給与(年収)から給与所得控除の金額を差し引いた額」が所得の金額になります。

給与所得控除は、給与収入額に応じて金額が定められており、給与所得者であるサラリーマンの実質の必要経費として認められている金額です。

給与所得控除は、次のように給与の収入額に応じて決まります。

引用:国税庁『No.1410 給与所得控除』

この表から見ると、年収500万円のサラリーマンの場合、給与等の収入金額は赤枠の「3,600,001円から6,600,000円まで」にあてはまるため、所得は次のように計算することができます。

年収500万円の会社員の所得の計算方法

①年収(1年間の給与額面合計):500万円円

②給与所得控除額:144万円(500万円×20%+44万円)

③所得:356万円(①-②)

なお、給与所得の源泉徴収票では、前章で説明した年収である「支払金額」の隣に、給与所得控除の金額を差し引いた後の金額が記載されています。

所得とは?

収入から必要経費を引いた残りの金額のこと。
個人事業主は「売上-必要経費-青色申告特別控除」の金額をいい、
会社員は「給与額面合計-給与所得控除」の金額をいいます。

 

年収、年商、所得の計算方法とは?

前述したように、個人事業主とサラリーマンで「年収」「年商」「所得」の求め方が違いました。

それぞれまとめると、次のような計算方法になります。

 個人事業主、自営業会社員
年商 売上
年収 売上-必要経費 給与金額
所得売上-必要経費-青色申告特別控除 給与金額-給与所得控除額
相談にきた<br>会社員
相談にきた
会社員

会社員でも副業で収入を得ている人いますよね?そういう方はどう計算すれば良いのですか?

ざいり
ざいり

考え方はいっしょ。会社員の収入に副業分の収入を足せばいいんだよ。

副業する会社員の年商、年収、所得は、次のように計算することができます。

 副業している会社員
年商 副業の売上
年収 給与金額+副業の利益(売上ー経費)
所得 給与金額-給与所得控除+副業の利益(売上ー経費)

 

年商から年収は分からない

ここまで説明したように、年商はビジネスの売上、年収は収入でしたので、年収と年商はまったく別の言葉でした。
それをふまえて、テレビやネットで見かける「年商1000万円」の年収を考えてみましょう。

年商1000万円ということは、ビジネスの売上が1000万円です。
年収は「年商から経費を引いた後の金額」なので、必要経費の金額によって年収は変わりますよね。

例えば・・・

経費500万円なら  
年商 1000万円-必要経費500万円=年収500万円

経費1000万円なら
年商 1000万円-必要経費 1000万円=年収0円 利益なし!

経費1300万円なら
年商 1000万円-必要経費 1300万円=年収マイナス300円 赤字!!

このように年商1000万円でも経費が多ければ、年収の金額は小さくなります。

「〇〇するだけで年商1000万円」、「たった3ヶ月で月商100万円」という宣伝をよく見ますが、これらにはウラがあるかもしれません。
本当に利益が出ているのか(=収入があるか)を確認されることをおすすめします。

 

まとめ

この記事では、「年収」「年商」「所得」の意味の違いから計算方法、誤解しないための注意点を説明しました。

それぞれの意味の違いは次のとおりです。

年収

個人が1年間で得られた収入合計のこと

 

年商

株式会社等の企業や個人事業主が1年間の事業活動で得られる売上高のこと

 

所得

収入から必要経費を引いた残りの金額のこと

個人事業主と会社員ごとの考え方は次のとおりです。

 個人事業主、自営業会社員
年商 売上
年収 売上-必要経費 給与金額
所得売上-必要経費-青色申告特別控除 給与金額-給与所得控除額

副業する会社員の場合は次のように計算することができました。

 副業している会社員
年商 副業の売上
年収 給与金額+副業の利益(売上ー経費)
所得 給与金額-給与所得控除+副業の利益(売上ー経費)

「年収」「年商」「所得」の言葉を混同させた詐欺まがいの宣伝文句が多く出回っています。言葉の違いを知っているだけで、詐欺に引っかからないための予防になります。


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ざいり

税理士/行政書士/FP。神奈川県鎌倉市で税理士・行政書士事務所を運営しています。スモールビジネスを営む個人事業主さんや中小企業さんを中心にお手伝いさせていただいています。 このブログでは、個人事業主として開業する人や会社から独立する人、法人化をする人に向けて、開業後の事業を営むうえで悩みやすいことについて分かりやすく解説します。 趣味は歩くことです。外をブラブラ散歩して、町の変化や流行を発見するのが大好き。

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